ラグビールール

スクラム

 ボールを所持していたプレーヤーがボールを前に落としてしまったり(ノックオン)、ボールを前に投げてしまったり(スローフォワード)、軽い反則があった後に行われるプレーのリスタート方法です。
ほかにも、キックオフやラインアウトの際のミス、ラック、モールが停止してしまった場合などにもおこなわれます。
  両チームのフォワード(FW)8人同士が組み合い、両チームが組み合った中間に、一方のチームのプレーヤー(スクラムハーフ)がボールを投げ入れます。投げ入れられたボールを、投げ入れたプレーヤーのいるチームが足で後ろにかきだし、スクラムを組んだ最後方のプレーヤー(ナンバーエイトやスクラムハーフ)がボールを取り出すことによってプレーが再開されます。 多くの場合は投げ入れたプレーヤーのいるチームのボールとなって再開されますが、相手チームの圧力が強かったりした場合は、ボールを奪われてしまうこともあります。 なお、スクラムでは、組んだ状態のまま回転してはいけません。

ノックオン ノックオン
ノックオンとは、ボールを前に落とすことをいいます。

スローフォワード スローフォワード
スローフォワードとは、前方にボールを投げることをいいます。

スクラムを組む際

 スクラムを組む際、レフリーの以下の4段階のコールに従わなければなりません。

クラウチ @クラウチ
腰を落としたクラウチングスタイルをとる。

次

タッチ Aタッチ
スクラム1列目の外側のプロップ同士が、互いに相手に触れる。

次

ポーズ Bポーズ
いったん手を離し、ポーズ(静止)する。

次

エンゲージ Cエンゲージ
エンゲージのコールのあとに組み合ってよい。

次

メモ 日本の高専・高校以下のローカルルールの場合は、まず双方の前5人が相手に触れたまま組んだ後に、残りの3人が加わることになります。

スクラムを組んだ後の反則

反則 スクラムを組んだ後に、プロップは相手の袖を下方に引いてはいけません。これはスクラムが崩れることにつながる危険な行為です。(青1番の反則。コラブシンク→PK)

反則 スクラムを組んだ後に、内側に入り込んだり、相手を上方に押し出してはいけません。これはスクラムが崩れることにつながる危険な行為です(赤1番の反則。ポップアップ、または危険なプレー→PK)

メモ
 スクラムを組む際のプレーヤーにはバインドの義務があり、バインドの仕方もポジションによって異なります。たとえばプロップ1番、3番はそれぞれ正面の相手とバインドしますが、その際「3番のオーバーバインド」とならなければなりません。つまり3番の右腕が相手1番の左腕の上側に来るということ。プロップ以外はいずれも味方にバインドしなければなりませんが、ロックは片腕をロックに片腕をプロップに、フランカーはロックに必ずバインドすること。ナンバー8は少なくても片腕をロックにバインドしなければなりませんが、頭は両ロックの間でもロックとフランカーの間でもかまいません(ただし、19歳未満の場合は必ず両ロックの間に入れなければなりません)。
 ところでバインドとは何でしょう?本来の意味は縛る、束ねるといった意味でラグビーでは「手から肩までの腕全体を用いて、味方のプレーヤーの胴体の、腋の高さかまたはその下の部分をつかむ」こと。よって「単に味方のプレーヤーの身体に手を置いている状態はバインドしているとはみなされない」のです。

スクラム時のバックス(BK)は5m後方に

 アタックの時は、斜め後ろにアタックラインを引きます。ディフェンスの時は、横一列に並んで相手の攻撃に備えます。但し2009年の新ルールにより、アタック、ディフェンスともBKは味方スクラムの最後尾から5m後方に下がらなくてはならなくなりました。

スクラム時のバックス(BK)は5m後方にアタック時には、5m後方で斜めにアタックラインを引く

ディフェンス時には、5m後方で横一列にディフェンスラインを引く

フロントローのバインドをよく見て!

 フロントローのバインドが正しく行われていなければ、スクラムが崩れる危険性があります。相手の袖を持ったり、相手にバインドをしない行為は、その意図にかかわらずペナルティの対象となります。

フロントローのバインドをよく見て! 相手の袖を持つ(青3番)と下方に崩れやすい

フロントローのバインドをよく見て! 相手にバインドさせない(青3番)とスクラムが安定しない

フロントローのバインドをよく見て! 相手のパンツを持つ(黄1番)と低くなり、崩れやすい

フロントローのバインドをよく見て! 自分の膝に手を置く(黄1番)と内側に入りやすく安定しない

スクラムでよく起こる反則いろいろ

 3番が相手の袖を下方に引く、1番がいったん逃げて内側に入り込む、膝を地面につけるなどの行為がありますが、いずれもスクラムのコラブシング(崩壊)につながる危険な行為です。コラブシングの反則は、実際に崩れなくても崩す行為自体を指し、厳格に対処されることになります。

スクラムでよく起こる反則いろいろ 青3番が相手1番の肘をつき落とす(黄1番の頭を下げ、押しにくくする)

スクラムでよく起こる反則いろいろ 青1番が外側から内側に入り込む(相手の押しの力を半減させる)

スクラムでよく起こる反則いろいろ 黄1番が故意に地面に膝をつく(相手の前進をとめる)